「蝉丸(せみまる)」　逆髪：浦田保浩　蝉丸：浦田保親

この曲は、薄幸で悲運な姉弟、しかも皇女皇子の再会・別れを深刻に描いた曲です。
しかし暗い内容乍らも、主人公が皇女皇子であり、また節付け等も流麗で、何処か気品に満ちた作品となっています。
曲柄から、戦時中は上演禁止となっていましたが、現在は屈指の人気曲となっています。

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• 延喜の帝の第四の皇子蝉丸は、生まれつき盲目の身であった。
  
  帝は清貫に、逢阪山に蝉丸を捨てる様命ずる。
  
  清貫は嘆くが蝉丸は過去の罪業を償わせようとの父の慈悲だと嘆く事をしない。

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• やがて清貫は帝の仰せ通り、蝉丸を剃髪し出家させ、
  蓑・笠・杖を置いて泣く泣く去って行く。
  
  一人になった蝉丸は、さすがに淋しさが募り、琵琶を抱いてついに泣き伏してしまう。

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• 一方、蝉丸の姉宮の逆髪は、その名の通り髪が逆立ち、狂乱の身となっていた。
  逆髪は御所を彷徨い出て、逢阪山へとやって来る。
  
  折しもそこに美しい琵琶の音色が聞こえ近づくと、
  そこには浅ましい姿となった蝉丸がいた。
  思わぬ再会に二人は、手を取り合って涙を流す。

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• 暫しの間、互いの不運を嘆き、慰め合ったが、
  逆髪はまたも何処とも無く立ち去って行き、
  蝉丸は見えぬ目で去り行く姉を見送り、
  名残を惜しみつつも、 また二人は別れ別れとなっていった。