うらちか写真館

ここでは、代表的な能の演目や公演予定の演目の舞台写真をあらすじ付きで紹介しています。
観能される前にさっと目を通していただくと、より楽しんでいただくことが出来るでしょう。

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「殺生石(せっしょうせき)」 シテ:浦田保親

    舞台に大きな石の作り物が出され、シテは中入りでこの中に隠れ、やがて石が二つに割れると、野干の姿となって現れます。
    そして野干自身が、那須野の原で矢に射られ命を取られた所を再現する場面は、実写的な動きも多く、
    機敏で迫力のある、見どころです。
  • 下野国(栃木県)那須野の原に、玄翁という僧と能力が通りかかる。すると空を飛ぶ鳥が、ある石の上を通ると不思議に落ちてくる様子を見る。
    不審に思っていると、一人の女が現れ、「その石は殺生石と言う恐ろしい石です。近寄ると人はもちろん鳥類や畜類までも命を取られてしまうのです。す ぐに立ち退きなさい」と忠告する。
  • 玄翁がその由来を尋ねると、女は「昔鳥羽の院に寵愛を受けていた、玉藻の前という女性がいた。彼女は才色兼備の女性で、帝もたいそう気に入っていた が、その正体は化生の者だった。やがてその正体が見破られこの野で殺されたが、その魂が殺生石となって残っているのだ」 と語り、実は自分がその石魂だと明かし、石の中に隠れてしまう。
    玄翁が石に向かい供養をしていると、俄に石が二つに割れ、中から野干(狐)の精が姿を現す。
  • 野干は、天竺(インド)では斑足太子の塚の神になり、 大唐(中国)では幽王の妃となり、世を乱していた。そして我が国日本では、玉藻の前となって悪 事を働こうとしたが、ついに見破られ、この野にて射殺され、その執心が殺生石となった。

    しかし今、僧の供養を受けたのでこの後悪事はしないと約束し、消え失せていった。